萩原朔太郎\光芒风景\光る風景
光る風景
青ざめしわれの淫樂われの肉、
感傷の指の銀のするどさよ、
それ、ひるも偏狂の谷に涙をながし、
よるは裸形に螢を點じ、
しきりに哀しみいたみて、
をみなをさいなみきずつくのわれ、
ああ、われの肉われをして、
かくもかくも炎天にいぢらしく泳がしむるの日。
みよ空にまぼろしの島うかびて、
樹木いつさいに峯にかがやき、
憂愁の瀑ながれもやまず、
われけふのおとろへし手を伸べ、
しきりに齒がみをなし、
光る無禮(ぶらい)の風景をにくむ。
ああ汝の肖像、
われらおよばぬ至上にあり、
金屬の中にそが性の祕密はかくさる、
よしわれ祈らば、
よしやきみを殺さんとても、
つねにねがはくば、
われが樂欲の墓場をうかがふなかれ、
手はましろき死體にのび、
光る風景のそがひにかくる。
ああ、われのみの、
われのみの聖なる遊戲、
知るひととてもありやなしや、
怒れば足深空に跳り、
その靴もきらめききらめき、
涙のみくちなはのごとく地をはしる。
萩原朔太郎\光芒风景\光る風景
光芒风景
我的淫乐与欲肉色调青白、
感伤的手指带有银质锐利、
那是、昼间眼泪流淌偏狂之谷、
夜晚萤虫细点赤裸之身、
几度疼痛悲哀、
被绝色女性的折磨毁伤、
啊啊、我的肉重塑我身、
如此这般令人怜爱在炎天里游泳的金阳。
仰望之空浮游幻象之岛、
有时树木在山峦中闪亮、
忧愁的瀑布已不再奔流、
此刻我伸出腐朽的手、
几度紧咬牙关、
向着无赖的光芒风景堕落。
啊啊你的画像、
存有我所不及的至上、
金属中有性的秘密埋藏、
应祈祷吗、
或应将你杀戮、
若是常日祈愿、
我就不再窥视那乐欲的墓场、
苍白尸体上手指蔓延、
光芒风景在背后消逝、
啊啊此身以及、
此身神圣的游戏、
即使知晓之人亦不明真假、
若被激怒便以足跃向深空、
那靴子熠熠闪耀、
眼泪如蛇在地面疾奔。
* かくもかくも炎天にいぢらしく泳がしむるの日。
可能是日子也可能是太阳
萩原朔太郎\磨工的金属之手\磨かれたる金屬の手
磨工的金属之手
手在过电、
手是白金、
手带着喇嘛教的痛楚、
手在树心生辉、
在鱼上生辉、
在墓石上生辉、
手在鲜明的生辉、
前行之处、
肢体早已断舍离脱、
炎炎灼热的狂气、
张开手指所指示之处、
手在宇宙中生辉、
生辉的金属的我的手腕、
被尖锐的打磨、
使我眼瞳盲目、
使我皮开肉绽、
使我伤筋动骨、
可怕啊可怕啊、
手是苍白疾病的镭、
手指的疼痛愈加强烈那时、
我在暗地里将千针饮下。
磨かれたる金屬の手
手はえれき、
手はぷらちな、
手はらうまちずむのいたみ、
手は樹心に光り、
魚に光り、
墓石に光り、
手はあきらかに光る、
ゆくところ、
すでに肢體をはなれ、
炎炎灼熱し狂氣し、
指ひらき啓示さるるところの、
手は宙宇にありて光る、
光る金屬の我れの手くび、
するどく磨かれ、
われの瞳をめしひ、
われの肉をやぶり、
われの骨をきずつくにより、
恐るべし恐るべし、
手は白き疾患のらぢうむ、
ゆびいたみ烈しくなり、
われひそかに針をのむ。
萩原朔太郎\偏狂\偏狂
偏狂
当可鄙的性事衰败之时、
有薰风流经足底、
额前金绿盘蛇栖息、
啊啊我独一无二的偏狂、
在夏季深山中微微摇荡。
令人哀怜的偏狂、
愿望离去、
不知何时灵智也会离去。
寂寥之空终日色泽白金、
以我辛勤的双手合掌、
眼瞳盲目、
迷醉的脑在山路中沉降。
啊啊金性的肉衰败之时、
深山急流蜿蜒、
青蓝即将衰败之时、
与祈祷之银血一同、
狂奔的肉撕裂山谷。
金性的偏狂在我掌中。
* ものまにや=モノマニヤ=monomaniya=偏执狂
偏狂
あさましき性のおとろへ、
あなうらに薫風ながれ、
額に緑金の蛇住めり、
ああ我のみのものまにや、
夏ふかみ山路をこゆる。
かなしきものまにや、
のぞみうしなひ、
いつさいより靈智うしなひ。
さびしや空はひねもす白金、
はやわが手かたく合掌し、
瞳(め)はめしひ、
腦ずゐは山路をくだる。
ああ金性の肉のおとろへ、
みやま瀧ながれ、
青らみいよいよおとろふ、
いのれば銀の血となり、
肉やぶれ谷間をはしる。
金性のわがものまにや。
萩原朔太郎\在紫色的感情中\紫色の感情にて
紫色の感情にて
ああその燃えあがる熱を感じてゐる
この熱の皮膚を
しばしば貴女にささげる憂鬱の情熱を
ただ可愛ゆきひとつの菫の花を
貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへ
ここにはまた物言はぬ憂愁の浪
紫をもて染めぬいた夢の草原
ああ耐へがたい病熱の戀びとよ
戀びとよ
今日の日もはや暮れるとき
私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しよう
しほしほと泣く心の奧深く
貴女はその惠をたれ
慈愛をもて久遠の道を聽かせ給ふか
貴女は尊き婦人 私の聖母
苦しき苦しき愛憐の祈りをきく人
この可愛ゆきひとつの菫の花を
ただ微かに貴女はほほ笑み
貴女は微かにかぐ 恐ろしい絶望の底の神祕を
人間の虚無の苦惱を 貴女は一人知る
貴女は一人知る
ああ この暗い紫の色の感情を
紫の色の、げに吐息深き私の病熱の戀びとよ。貴女は。
萩原朔太郎\在紫色的感情中\紫色の感情にて
在紫色的感情中
啊啊感觉着高扬燃烧的热量
这灼热的皮肤
时时向妳捧上忧郁的热情
仅仅是想将一片可爱的堇花
向妳柔白的肌肤按下
此处有尚且无言的忧愁之浪
和以紫色浸染的梦的草原
啊啊难以忍耐病热的恋人哟
恋人哟
今日早已日暮
让我访问妳家与那黑门的暗影接吻吧
在泪流不止的心的深处
妳将恩惠施予
以慈爱将那久远的长路倾听
妳是尊贵的妇人我的圣母
那痛苦的痛苦的将爱怜祈祷倾听的人
这可爱的一片堇花
如此幽微妳微笑着
妳幽微的呼吸着恐怖的绝望之底的神秘
人类虚无的苦恼为妳一人所知
为妳一人所知
啊啊这黑暗的紫色的感情
紫色的、吐息十足深重的我的病热的恋人啊。正是妳。
* 贵女:身份高贵的女性。暂时没找到中文中对应的称呼。
萩原朔太郎\利根的松原\利根の松原
利根的松原
周日的白昼之时
我愉快的谐谑已在草间满溢。
虽然那新芽尚未萌出
少年的情绪却赤红地在树木间焚烧。
朋友们回想着异性的温暖手臂
啊啊来到这片追忆的古林
独自沉浸在高远苍天的景色之中
足以忧愁之物会何时来临
是我的后背被暗暗触摸的那天吗。
此刻风景晚秋 业已凋零
我将烧石在口中含着
频频将那灼热的 如同唾液般的东西吞下。
* おもへ:おもう
* 燒石:烧热了之后用来取暖的石头
利根の松原
日曜日の晝
わが愉快なる諧謔(かいぎやく)は草にあふれたり。
芽はまだ萌えざれども
少年の情緒は赤く木の間を焚(や)き
友等みな異性のあたたかき腕をおもへるなり。
ああこの追憶の古き林にきて
ひとり蒼天の高きに眺め入らんとす
いづこぞ憂愁ににたるものきて
ひそかにわれの背中を觸れゆく日かな。
いま風景は秋晩くすでに枯れたり
われは燒石を口にあてて
しきりにこの熱する 唾(つばき)のごときものをのまんとす。
萩原朔太郎\你的家\君が家
君が家
ああ戀人の家なれば
幾度そこを行ききずり
空しくかへるたそがれの
雲つれなきを恨みんや
水は流れて南する
ゆかしき庭にそそげども
たが放ちたる花中の
艶なる戀もしらでやは
垣間み見ゆるほほづきの
赤きを人の脣に
情なくふくむ日もあらば
悲しき子等はいかにせん
例へば森に烏なき
朝ざむ吿ぐる冬の日も
さびしき興に言よせて
行く子ありとは知るやしらずや
ああ空しくて往來ずり
狂者に似たるふりは知るも
からたちの垣深うして
君がうれひのとどきあへず
萩原朔太郎\慕乡黄昏曲\慕鄕黃昏曲
慕鄕黄昏曲
しめやかなるのすたるぢやのもよほしに
やさしくもさしぐみきたる淚
もとより海近きえにしだの木影ならずば
なにしかはこの薄ら明りをば思ひなやまむ
ところ定めぬぢぶしいの群にはあらで
影の過ぎゆくものはぅら哀しく
おとなひ來るものはなにくれと寂しかり、
たちより我が白き指にすかしみる
すかしる草の葉らおもてに
せんすべなくも落日はそがひ泣き
何時までか黄昏はひとつところを步み居るらむ、
はるばると瞳をあげて遠きを望み
海山こえて燕雀の落ちゆく方を思ひみば
我れにはあらで如何なる人が住みにけむ
ここらへて見知らぬ國の戀ひしさに
やさしくもさしぐみ來る淚はとどめあへずも。
萩原朔太郎\慕乡黄昏曲\慕鄕黃昏曲
慕乡黄昏曲
从那沉寂下来的乡愁催促中
既温柔、又多愁善感地到来
若是没有那海边金雀花渐行渐近的树影
该是何物搅扰这薄明的思绪
此处安家的吉普赛们已渺无影踪
随影而逝之物心底含泪
随声而来之物孤寂无垠
落脚的我从苍白的指间窥视着
从草叶的表里间窥视着
无措地背向我哭泣的落日
逢魔之时何时终止呢 我许踽踽独行度这黄昏
遥遥举目翘首远望
遥想着那飞越海山的燕雀 所去往停驻的方向
是怎样与我相异的人在那彼方栖居
从那不得而知的异国情爱中
既温柔、又多愁善感地到来的泪水绵涟不绝。
* 关于这首诗的标题:写作慕鄕黃昏曲,注音是ノスタルヂヤセレナアド
ノスタルヂヤ:のすたるぢや,Nostalgia,乡愁。
セレナアド:serenaado,小夜曲。
所以是写作慕乡黄昏曲,读作乡愁小夜曲。
* ぢぷしい:吉普赛
* おもて:表に
"如果诗歌是人魂的碎片 那么翻译就是将这些碎片再度唱响"
以萩原朔太郎为主,日本近现代文豪的诗歌翻译魂器。
管理者:@mykaoru